短期金融市場 2007 10 7

 何となく、堅苦しいテーマとなってしまいましたので、
専門家からは、異論が出るかもしれませんが、
話を面白く、楽しく進めましょう。
そういうわけで、多少、デフォルメします。
 銀行には、お金があるか?
こう聞くと、「銀行には、お金が、たくさんある」という答えが返ってきます。
 しかし、「銀行には、お金がない」という答え方もあるのです。
極端なことを言えば、銀行に、お金がないのは、自然であると言えるでしょう。
 たとえば、あなたが銀行家だとします。
そして、預金を100億円集めたとします。
 この100億円を、大事に金庫にしまっておくと、どうなるか?
もちろん、銀行は、赤字になります。
預金には、利子をつける必要があります。
その利子は、あなたのポケットマネーから出しますか?
そうすると、あなたは、破産してしまいます。
また、銀行員には、給料を支払う必要もあります。
 だから、100億円を大事に金庫にしまっておくと、
銀行は、赤字になってしまいます。
 この100億円をうまく運用して、せめて110億円ぐらいにしたい。
なるべくならば、全額、運用したいが、
日々の「窓口での支払い」もあるので、「ある程度の現金」は残す必要がある。
 しかし、この「ある程度の現金」は、なるべく少なくして、
より多く運用資金に回したいというのが、投資家の本性でしょう。
そういうわけで、銀行には、「お金がない」ということも、あり得るのです。
 でも、世の中、便利にできているものです。
銀行同士、同じような事情を抱えていますから、
お互いに助け合いましょうということになります。
その助け合いの場が、短期金融市場と言えるでしょう。
 「ある程度の現金」と言っても、
中小の銀行に比べれば、大銀行の場合、巨額の現金になるでしょう。
もちろん、中小の銀行だって、たまたま手元に巨額の現金がある場合もあるでしょう。
 こうした現金を、銀行同士で融通すれば、当座の資金に困ることはないでしょう。
ただし、どこの銀行で資金が余っていて、どこの銀行で当座の資金が不足しているか、
なかなか、うまく、かみ合わない、つまり、うまく、お見合いができない。
そういう場合もあるでしょう。
そこで、仲人が、つまり、仲介人が必要となるのです。
それが、短資会社という、あまり聞きなれない会社です。
 これで、役者が全部揃ったから、万事解決というわけには行かなくなったのです。
最近まで、日本では、量的金融緩和策というものがあって、
要するに、市場に資金がジャブジャブ溢れているような状態でしたから、
「短期資金(当座の資金)なんて、いつでも調達できる。
短資会社なんて不要かもしれない」という雰囲気があったのです。
そういうわけで、「短期資金の調達は、新人の仕事」とまで言われるようになったのです。
「いや、派遣社員でも、できる」と言う人もいたかもしれません。
 しかしながら、こうした仕事は、本来は、ベテラン行員の仕事だったのです。
当座の資金をやり繰りするのは、意外に難しいでしょう。
家計だって、ベテランの主婦だったら、うまくできても、
新米の主婦では、当座の資金のやり繰りに失敗して、
次の給料日まで、お金がないので(定期預金はある)、
実家の母親(大銀行?)に、当座の資金を借りることもあるでしょう。
 日銀が量的金融緩和策を止めた以上、そして利上げが続けば、
短期金融市場で、資金が窮屈になることがあるかもしれません。
場合によっては、「あの銀行は、経営が怪しい」という風評が出ると、
いくら仲人役の短資会社が頑張っても、
「資金の出し手がいない」という事態もあるかもしれません。
 今のところ、日本では、そういう事態は想定できないですが、
外国では、あり得るか、実際にあったかもしれません。
本来、資金はあっても、当座の資金(現金)がない。
あるいは、変な噂が出回って、預金者が窓口に殺到して、預金を引き出す。
銀行は、通常、預金者から預かった資金を運用に回していますから、
手元に現金はない、さあ、どうする?
手っ取り早い方法は、窓口を閉めてしまう。
でも、これをやると、銀行は倒産してしまうかもしれない。
そこで、次善の策を取ることになるでしょう。
銀行の裏口を見ると、中央銀行の現金輸送車から、現金を運び入れていた。
 もちろん、こうした話は、最初に書いたように、
読者が興味を持つように、デフォルメして書いてあります。
そういうわけで、事実と違いますので、注意してください。

















































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